あるあるレポート
2016年8月号(8月25日発行)

職業能力開発サービスセンター(サービスセンター)が実際に行っている企業訪問等での相談・支援などに関する現場レポートをお届けするコーナーです。


第12回は、茨城職業能力開発サービスセンターの現場レポートです。


当サービスセンターでは、平成27年10月以降、改正労働者派遣法対応の為のキャリア形成支援制度の構築について、各企業からの問い合わせ、相談が急増しています。(参考:平成27年労働者派遣法改正法の概要[PDF])

改正労働者派遣法は平成27年9月30日に施行され、同年10月から11月にかけて茨城労働局による関係企業に対する改正法の説明が行われました。この改正では「派遣労働者のキャリア形成支援制度を有すること」が新たに追加され派遣会社にとっては大きな変化を求められるものでした。ところがこの頃当センターではこの改正法に対する準備がまだ整っていませんでした。


労働局の説明を聞いた派遣企業の社長さんが来所され、矢継ぎ早に質問を受けたことを記憶しています。

「キャリア形成ってなに?」、「支援制度を有するってどんなこと?」、「この基準を満たさないと派遣業の許可が取れないの?」などの問いに適切なアドバイスができず、従来からある「事業内職業能力開発計画」の作成の仕方を説明するにとどまっておりました。


このような窓口対応と平行して、当サービスセンターではひとつの試行を行っていました。それは改正労働者派遣法の施行に伴い、関係企業からの問合せが集中することが予想されたため、当センター所属の人材育成コンサルタントの発案の下に、派遣企業のための「教育訓練計画の雛形」を作成し、事前に労働局のご意見をお伺いすることとしました。労働局との打合せでは、「特に決まった書式はないが要件は網羅されていると思われるので、相談があった場合はその雛形で指導をして欲しい」旨の了解を頂きました。


改正派遣法が求める「キャリア支援制度」は、「派遣労働者のキャリア形成を念頭に置いた段階的かつ体系的な教育訓練の実施計画を定めていること」と示されています。教育訓練計画の雛形の作成にあたっては、企業の実態を如何に表現できるかが課題でした。


ある企業の社長さんが窓口に相談に来られ、会社の教育訓練の実態をお聞きした上で、「ところで社長さん。社長さんは入社して1年目の社員に話す内容と5年目、又は10年目の社員に話す内容を変えていませんか?」とお尋ねしました。その問いに、社長さんは「当然です!! 勤務年数が上になれば教える内容は高度になるし、下の者を育てることもしてもらわないといけないしね」と意気込んでお話しされました。かくして、このタイミングで当センターで作成した雛形の登場です。


窓口で示す雛形は3シート。つまり(1)教育訓練体系図(縦に階層、横に職能を配置したマトリックス図)、(2)年間教育訓練計画表(3)研修カリキュラム を示し、「これでイメージがわきますか?」の問いに、殆どの企業の方が「これなら描けそうだ」、あるいは「これならばわかり易い」との回答を頂いています。


派遣企業が教育訓練体系図を作成する上での課題がもうひとつありました。それは派遣元での一般教育が終わると直ちに派遣先での業務を行うことになり、その後派遣先でどんな教育訓練が行われているか派遣元では殆ど判らないという点でした。このため派遣先を含めた教育訓練体系図が描けないのが実態でした。この点が派遣労働者のキャリア形成にとって大きなネックではないかと思いました。


これについては、派遣労働者のキャリア形成支援のための教育訓練は、費用の負担先は問わないという労働局の見解をもとに、派遣先での教育訓練を派遣元の教育訓練として体系図化することで解決できると考えました。

こうして作成された教育訓練体系図は、労働者派遣事業計画書と共に労働局に届出され受理されることと なりました。当然のことながら教育訓練計画書はそれぞれの企業の社員にも開示され、毎年見直されることで定着が図られていくことになるのです。最近では、各企業から労働局に提出する前に見せて頂いたり、好事例については労働局から紹介して頂くなど、双方向の会話ができるようになってきたことがうれしく思います。




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