企業の現場から
2016年10月号(10月27日発行)

株式会社前川製作所

21世紀の人づくりに向けて

第3章 静の時代(50代〜80代)

最後となります第3章では、マエカワの静(50代〜80代)と呼ばれる時代についてご紹介します。



“定年がない”と言われるマエカワにも、マエカワならではの働く仕組みが必要です。つまり、知恵と能力を埋もれさせず、働き甲斐のある環境と仕組み、すなわち50代以降の静の世代に焦点を当てなければなりません。第2章でも述べましたが、本人が仕事に対して前向きで、自分らしい、自分に合った・やりたい仕事がはっきりしていて、周囲にも一緒にやっていこうという相互理解と支援の関係が整っているうちは、いつまでも仕事が続けられるとマエカワでは考えています。コストとしての存在ではなくプロフィットを生み出す存在であり続ける静の世代になるために、マエカワでは年代ごとの到達点を示していますので、ご紹介します。


20代では「己とマエカワと社会を知る」とし、マエカワの企業活動の中核的な存在となるべく、主体性や自発性、自立性を身に着けていきます。


30代は「場所の中で積極的に行動していく」を目標に、マエカワの場所や企業戦略を理解して実行に移していくとともに、静の時代を見据えて自分の進むべき方向としてスペシャリスト型かマネジメント型かを考えていくことが求められます。


さらに40代は「共同体力を上げ、場を創出し、深め、広げ、牽引しながら新しいプロジェクトを成功させる」ため、マエカワ全体を総合的に見て具体的なプロジェクトを創出し実行していき、また動全体の限界をつかみそれを越えるためのプロジェクトを作り、動と静の連続性の役割も担います。


50代は「静の場所を発見し、場所における自分を見つめ直す」ことで、動の時代に培ってきた経験や見識から自分らしさを見つけ、静の世代を活き活きと生きていける場を創り始めます。


そして60代以降は「自分にしかない道を究め、もっとも充実した企業人生を送る」として自分らしい独特の世界を実現し有意義な時代を過ごしていることを目標とします。


以上のように、マエカワでは人づくりを20代から意識して行うことで、活気のある静の世代として仕事ができるように様々な工夫をしてきました。ですが、マエカワの中でも企業規模が大きくなり社員数が増えたことによって、必ずしも全社員に浸透し成功しているわけではありません。今も活き活き働く高齢者がたくさんいて元気な会社ではありますが、うまくいっている人とうまくいかない人がいるのはなぜか、また日本全体の超高齢化社会の問題を企業という立場から考えるためにはマエカワのどのような部分を生かすことができるのか、そういった解明されていないことに着目し、もう一度マエカワ自身について真剣に考えようという動きが出てきました。


一般財団法人前川ヒトづくり財団21では、マエカワが抱える上記のような問題点や疑問点を明確化しながら、世の中の企業の皆様と一緒に生涯現役社会を考えようという活動を行っています。まずはマエカワについて、心理学や老年学・教育学などの先生方のお力を借りて調査を行い、これまで社員でも感覚でしかわからなかったことについて学術的な裏づけとともに少しずつ明らかにしているところです。研究成果は、年2回公開で開かれる『生涯現役社会を考えるフォーラム』にて社会に周知をはかっております。 今回の心理学におけるマエカワの調査では、各世代がそれぞれ役割をもって、各世代同士相互作用しながら仕事をしているという現場の様子が見えてきました。つまり、お互いがお互いを支え、技術的にも精神的にも成長させあっている存在であるということです。<高齢者がいると良い>のではなく、<若手も中堅も高齢者も、すべての世代がいるから良い>のです。熟達した高齢者の多くの方から「我々が若い人に教えることよりも、若い人から学ぶことが多い」という言葉を聞きます。高齢者自身は成長を与えるだけではなく、若手や中堅から成長を与えられているからこそ活き活き働けるのではないでしょうか。静の年代だけが持つ力を企業・組織が活用し、若手・中堅・高齢の三世代が一緒になって革新し続けるというように見方を変えると、高齢者雇用問題の観点も変わってくるのかもしれません。


今後、皆様と一緒に生涯現役社会の実現を考えるにあたって様々な新しい視点が生まれることを期待しながら、株式会社前川製作所と一般財団法人前川ヒトづくり財団21はチャレンジを続けていきたいと考えています。