キャリア塾
2015年9月号(9月24日発行)
国立大学法人 東北大学
高度教養教育・学生支援機構
キャリア開発室 高橋 修 准教授

今回は、キャリア教育の一つの方法として、最近注目を集めているインターンシップについてご紹介したいと思います。

1.注目されているインターンシップ

インターンシップとは、「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」を意味します。

このインターンシップに関して、「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)において、わが国の将来を担う若者すべてがその能力を存分に伸ばし、世界に勝てる若者を育てることの重要性を指摘したうえで、インターンシップに参加する学生数についての目標設定や、キャリア教育から就職まで一貫して支援する体制の強化などが提言されました。

これを受けて平成26年4月には、インターンシップに関する基本的認識や今後の推進のあり方を整理した「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」(文部科学省・厚生労働省・経済産業省による3省合意)が15年ぶりに見直されました。

また、「日本再興戦略 改訂2015」(平成27年6月30日閣議決定)においても、各大学等でのインターンシップの単位化、中長期や有給のインターンシップなどの推進が謳われています。

このように近年、政府の方針として大学等におけるインターンシップの充実強化が掲げられ、そのための予算措置もされています。




2.インターンシップの流れ

さて、一口にインターンシップといっても、さまざまなタイプがあります。1〜2週間程度の職場・業務体験が一般的かとは思いますが、中には1日〜数日間の職場見学のようなものも見受けられます。一方で、1か月〜数か月をかけて、実習先の新規事業や変革プロジェクトの一員として参画するといった本格的なインターンシップもあります(経済産業省「成長する企業のためのインターンシップ活用ガイド」2014)。

そこで今回は、一つの事例として、私が以前勤務していた私立短期大学でのインターンシップの取組みについてご紹介します。この短期大学では、選択科目として「短期インターンシップ」(2単位)と「長期インターンシップ」(4単位)が配置されています。例年前者が50〜60名、後者が20〜30名、合計70〜90名が履修します。

インターンシップの流れは、図表1のとおりです。また、短期大学のため、1年生で実施します。学生は、1年生の6月に開かれる説明会でインターンシップの概要を理解したうえで、履修するか否かを決めます。履修者は、9〜1月にかけて5回の事前ガイダンスを受講します。そして、実習先への事前訪問を経て、2〜3月の間に職場・業務体験を行い、3月末の報告会をもってインターンシップが終了します。「短期インターンシップ」も「長期インターンシップ」も、基本的にこの流れは共通です。異なるのは前者の実習期間が1〜3週間、後者が約2か月という点です。





3.事前準備・事前指導

事前準備で注力するのは、実習先への受入れ確認作業です。この短期大学は、現代ビジネス学科の中にさまざまなコースを設置しています。ですから実習先も、ホテル、旅行会社、結婚式場、スポーツ施設、病院、会計事務所、金融機関、市役所など、50種以上の多岐にわたります。既存の実習先に対しては、長年のご協力に感謝するとともに、「今年も、実習生の受入れをお願いできますでしょうか。」と確認を取ります。併せて、新しい実習先の開拓も行います。ちなみに、このインターンシップは担当教員3名とキャリア支援部署の職員3名、計6名が協力しながら担当しています。

事前指導の段階では、月に1度のペースで事前ガイダンスを行います。担当教員としては、「個人でアルバイトをするために行くのではないよ。うちの学校の看板を背負って、勉強させてもらうため行くのだからね。」などと、事あるごとに意識づけをします。にもかかわらず、「えっ! インターンシップって、アルバイト代は出ないの?」などと言われてしまうと、「この学生、実習先へ送り出しても大丈夫かな?」と不安がよぎったり、時には軽いめまいを覚えたりすることもあります。

それでもめげずに(!)、実習へ出かける直前には、「いいかい、大切なことは感謝と我慢だよ。実習生として受け入れてもらっていることに、感謝の気持ちを忘れないこと。そして、辛いことがあったら、まずは3分、次は30分、その次は3時間と思って我慢すること。そうすれば辛いことにも慣れるから。」と激励して送り出します。



4.実習期間中

学生を送り出したから一安心、というわけにはいきません。学生本人や実習先から緊急の連絡が入ることがあります。例えば、長期インターンシップとして、社員寮の部屋を借りながらリゾートホテルで実習中の学生から、「先生、私、ノロウィルスに罹ってしまって実習停止ですって。今、寮の部屋で隔離されています……」という電話が、泣きながら入りました。すぐに、先方のご担当者と連絡を取り合いながら、実習を中断して実家に帰宅させました。ただ、「どうしても、最後まで実習を続けたい。」と本人の想いが強かったこともあり、10日間ほどして「治った」という主治医の判断に基づいて実習に復帰させた、ということもありました。

当然、教職員が分担して実習先訪問も行います。特に、上述のような「大丈夫かな?」と思う学生がお世話になっている実習先では、実習受入れに対するお礼を申し述べた後で、「今年の学生の実習ぶりは、いかがでしょうか?」と、恐る恐る尋ねます。すると、「いや〜、明るく元気があっていいですよ。ここ数年で、一番動ける学生さんじゃないですかね。」などと、意外な評価をいただくこともあります。そんな時は、内心ほっと胸をなでおろすとともに、「学生を、ある一面だけでは判断してはいけないなあ。」と改めて反省させられます。



5.事後指導

実習終了後、学生は1週間以内に実習先のご担当者にお礼状を出し、学校には終了報告書を提出します。そして、インターンシップ報告会では、各自が実習内容とそこから学んだことについて口頭発表します。

実習前には、「私、不安がいっぱいで、今にも心臓が破裂しそう。」などと言っていた学生が、自分の経験や学んだことを堂々と発表してくれます。そうした姿を見るたびに、一つのことをやり遂げた自信、「自分もやれるのだ。」という自己効力感が学生を成長させることを実感します。




これまで3回にわたって、大学でのキャリア教育についてお伝えしてきました。次回からは数回にわたって、企業におけるキャリア形成支援について考えてみたいと思います。